不協和音は愛の始まり
「川畑…聖子さん」
私は緊張しながらも、深呼吸して話しかけた。
「コンセント入れたので、あとはここを押せば乾かせますよ」
スイッチを入れて笑顔でドライヤーを渡す。

相手のプライドを傷つけずに、出来る事はやってもらう…それは、まだ経験少ないながらも介護の仕事をしている中で私が身に付けた事だった。

「わかったわ。ありがとう」
川畑のお母さんも笑顔で答えてくれて、私はほっとして洗面所を出た。

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