不協和音は愛の始まり
「お化粧直ししなくっちゃ。そうだ、恭子ちゃんもお化粧してあげるわ」
私は上機嫌の川畑のお母さんに部屋へ引っ張って行かれ、鏡台の前に座らされた。

そして10分後には、普段あまり化粧しない私の顔が、別人のように目元パッチリまつ毛フサフサ、口元くっきり艶々で薔薇色の頬の美人になって鏡に映っていた。

…お化粧って凄い。
いやそれ以上に、川畑のお母さんのお化粧技術って凄い。

でもそうなると、自分の美貌もこの調子で作り上げてるのかもしれない。

手早くパタパタとお化粧直しをする川畑のお母さんを見て、私は謀らずも川畑のお母さんの秘密を知ってしまい、ちょっと複雑な気分だった。
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