不協和音は愛の始まり

3、息ぴったりの二重奏

ショッピングをする事が好きな川畑のお母さんは、買って来た物にはあまり興味がないらしく、届いた数々の品は箱から出さないまま置きっぱなしになっていた。

私は箱からスリッパを捜し当てて、館に似合うゴージャスなバラの花柄の生地に金と銀の糸で小さくバラの刺繍がついたお洒落なデザインのスリッパを改めて見て、やっぱりこれで良かったなと嬉しくなった。
古くなったスリッパに『ご苦労様』と心の中で声をかけて捨てる。
私のお母さんなら口に出して言っているだろうけど。
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