ひとつ屋根のした?
ショートカットに切られたフワフワの髪の毛も、えらく長い睫毛がふさふさと生えた垂れ勝ちな大きな目も、華奢な体つきも、全て、どこをとっても完璧な女の子だった。



あの日、胸が全くないのを見てしまった私ですら、にわかには未だに信じられないのだ。
けれど、胸が全くない女の子じゃ通用しない、男特有のあの体つきは本物だった。

クラスの人は、立高木綿が男だとは夢にも思わないだろう。

それほど、立高木綿の立ち振る舞いは完璧だった。

そのかわいらしい容姿から、『木綿ちゃんファンクラブ』なんて気持ちの悪いものまでできているそうで、毎時間、休み時間になると、今風のかっこいい顔立ちをした男の先輩から、必要以上に目が大きい少女の人形を持った、いかにもオタクですといった風貌の男まで様々な男が木綿見たさに一年三組までやってきた。


全く迷惑な話だ。



「カンナ、一緒にお手洗いに行かない?」

立高木綿だ。
同室でしかも立高木綿の正体を知っている私といると楽なのか、やたらに話しかけてる。

一緒にいる私まで目立ってしまって、いろんな人にアドレスを聞かれたりして、全くもって迷惑だ。




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