ひとつ屋根のした?



「行かない。」
「そ?じゃあ、私お手洗いに行って来るわ。」
しゃなりしゃなりと、立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花という美人を形容する言葉がやたらに似合う後姿で歩いていってしまう。

ちょっと席を立っただけで、周りの男から
「立高さんどこに行くの、俺も一緒に言っていいかな。」
なんて声をかけられている。

「ごめんなさい。ちょっとお手洗いなの。」
なんて、天使のような笑顔をその男に振りまくから、彼、悩殺されちゃってる。


本当に男なのかなと疑ってしまうほどの女のこっぷり。

よく、オカマの人は本物の(と言ったら失礼なのかな)女の子より女の子らしいなんていうけれど、本当にそのとおりだと思う。

自分の理想を自然と演じてしまうからなんて誰かが言っていたけれど、あんなのが男の理想の女の子像なのか。
優しくて、いつもしゃんとしていて、女の子らしい。


馬鹿みたい。

友達が未だ立高木綿しかいない私は、彼がいないと話し相手がいなくなるので、頬杖をついて窓ガラスの外を眺める。
こういうとき窓際の席は便利だ。





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