ひとつ屋根のした?
「カンナちゃんと、木綿ちゃんはゴールデンウィーク帰省するの?」
無邪気な笑顔でひとみが問いかけてきた。
ひとみは、アイドルみたいなかわいらしい顔をしているため男子から人気が高いが、見知らぬ男にほいほいついていきそうな感じな癖して、やたらガードが固く、彼女のメールアドレスをゲットできた男子はまだいないのだと言う。

「帰らないよ。ずっと寮。」
「私もゴールデンウィークはずっと寮にいるわ。実家は遠いから、わざわざ帰るより寮でゆっくりとしているわ。
ひとみと緑は?」

「私は、竜君と一緒に家に帰るよ。新幹線に乗らないと帰られないのに、お母さんがやたら帰ってほしがるの。」
竜君と言うのは、ひとみの双子の兄で、ひとみに顔は似ているけど背は高くて170センチ後半くらいあるのだそう。ひとみが、女子としては平均的な157センチくらいだから、並ぶとその身長差から、とても双子には見えない。

「私も帰るわよ。親が迎えに来て車で帰るの。私の家、県内だから。」

「二人とも帰るの。じゃあ、私は寮で木綿と二人っきりか。」
「多分、他にも帰省しない人はいるわよ。」

「そうかな。」
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