ひとつ屋根のした?
でも、日野先輩は一日に一回は一年三組の教室にカンナに会いに来て、中むつまじい二人の姿は今やちょっとした名物だ。
「カンナさ、」
食い入るようにテレビを見るカンナに声をかけると、邪魔するなと言うように睨まれた。怖いなあ。
「何。」
「ゴールデンウィーク、日野先輩と出かけないの?」
「出かけない。」
「付き合ってるのに?」
「・・・・・うん。だって、はるちゃんは用があるもの。」
そう言ったカンナの横顔は、悲しいどころか、少しうれしそうな表情さえ伺えて、考えてしまう。付き合うってこんなものなのかって。
普通、ゴールデンウィークなんて長い休みは、付き合っている二人にとっては一大イベントなんじゃないのか。
若手の俳優が扮した沖田総司が、テレビの中で儚く笑っていた。
次の日、試験二週間前をきってカンナは朝勉強まで始めてしまった。
どれだけ真面目なんだよ。その勤勉さは賞賛に値するよ、全く。
「カンナそんなに根つめてたら体壊すよ。」
と忠告したら、
「私の勝手でしょう。木綿に迷惑はかけないわよ。」
だってさ。
「まあいいや、とりあえず学校へ行こう。」