ひとつ屋根のした?
昼休み。どこの高校でもそうだと思うが、この時間はやたらと売店が混雑する。
寮ではお弁当が作ってもらえないから、生徒は全員この売店で昼食を買うか、食堂で昼食を食べるかしか選択肢がない。
近くにコンビニなんてものはないしね。


「カンナ買えた?」
パンやおにぎりをすでに買っている緑とひとみがカンナに問う。人ごみを掻き分けて出てくるカンナを見る限りどうやら無事買えたようだ。

「買えたわ。お待たせ。教室に戻ろう。」

俺もクリームコロッケパンを買えたことだし教室でお昼を早く食べたいななんて思っていたら、飲み物を買うのを忘れているのに気がついた。俺は、お茶がないとご飯を食べられないタイプなのに。

「ごめん、ちょっと飲み物買ってくるから皆は先に行っておいてくれるかしら。」
そういって、自販機のほうへ行く。自販機は売店や食堂から少し離れたところにあるから不便だ。何でこんなところに作ったんだ。


小銭を機械に入れて緑茶を買う。

「立高・・・・木綿ちゃん?」
低い声で名前を呼ばれ、振り返った先にいたのは、すらりと背が高く、清潔感のある顔が好印象な男子が立っていた。


日野陽也。
カンナの彼氏だ。


「カンナの同室の立高木綿ちゃんだよね。ちょっと話があるんだけど、時間いいかな。」

そう言って、日野先輩はさわやかに笑った。

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