ひとつ屋根のした?
「かけてませんよ。きっちりとプライバシーを守って私のスペースまで入ってきたこともありませんし。」
まあ、それは俺が男だからだけど。

「そっか。良かった。
カンナはクラスに友達が出来たんだ?」


何なんだ。この質問は。
これじゃあ、彼氏って言うより親のそれだ。
親が子供を心配しているような。

「はい。」

「良かった。木綿ちゃんもカンナと仲良くしてやってくれ。
カンナはちょっと人とは違ったところがあるけど。」

「人とは違ったところ?」
そう問いかけると、日野陽也は一瞬ためらって話始めた。



「カンナは昔、っていっても中学生の時、他人を怖がる、所謂対人恐怖症のけがあったんだ。」

「対人恐怖症?」
「ああ。あの容姿だろう?影で色々と言われていたみたいなんだ。
中学生ってそういうことよくするだろ。一人の子をはぶったり。」

確かに、カンナは人と接するのがあまり上手くないような気がする。
あの容姿、で分かってしまう、きれい過ぎるあの顔も。紫院堂長津の娘と言う肩書きも、人を妬ませたり、面白がらせたりするには十分なのかもしれない。
「それが原因ですか。」

「うん・・・・・・まあ、それ以外もあるんだけど。色々ね。」
『色々ね』には、これ以上尋ねるなといった雰囲気が含まれていた。聞かれたくないのなら、言うなよ。


「でも、良かった。君みたいな友達が出来て。
カンナは、君のことが好きみたいで君の話が出てくるよ。」


そう言った日野陽也の表情は、本当に子供のことを心配するお父さんのようだった。





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