ひとつ屋根のした?
「はあ。」
ため息をついて、携帯のメモリーからアヤメの電話番号を探し出して、電話を掛ける。

お父さんは、図書館に行っているなんて言っていたけれど、絶対に遊びに行ってるだけだ。電話しても大丈夫。

何度か目の呼び出し音がなった後、アヤメは電話に出た。

『もしもし?お姉ちゃん?』

「もしもし、アヤメ。今大丈夫?」

後ろでテレビの音と女の子のしゃべる声が聞こえる。きっと、友達か何かの家だろう。

『大丈夫だよ。
久しぶりだね!!元気?
風邪とかひいてない?ゴールデンウィークに帰ってこないの?』
「久しぶり。元気だよ。
ゴールデンウィークはちょっと帰ってこないの。ごめんね。折角のアヤメの十歳
の誕生日なのに。」
『そうなんだ。もう、一ヶ月もお姉ちゃんに会ってないから、寂しいよ。
家の中が凄く広く感じるもん。』

素直に可愛いと思う。
アヤメはこういう人が嬉しくなるようなことを照れないで言ってくれる。

「ごめんね。夏休みは絶対帰るから。」

『絶対?』
「うん。絶対。
あっ、誕生日プレゼント何がいい?買って送ってあげるから。」

そう言うと、アヤメは『うーん』なんて言って悩んで、大きな声で
『くまさんの人形!!』
と言った。
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