ひとつ屋根のした?
「あと一つは何か乗れそうだけどなににする?」


しばらく歩き、さっきの場所から大分離れた所で私たちは次にどこへ行くかを決めていた。
時間的に見て次で最後だ。

木綿の方へ密かに目を伏せつつ視線をやると、私より6、7センチは身長が高いので、丁度喉元が見えた。

『男』性の象徴である、喉仏がかすかに見え、木綿は声変わりをしていたんだなあなんて思う。
そりゃあ、高校生になって変声期を迎えていない男は少ないのだろうけれど。

首だって、標準的な男よりは細いものの、女である私よりはいくぶんか太い。
そう思うと、華奢に見えていた体つきも男の逸れに見えてくる。

木綿は、そう言ったことから無関係だと思っていた。
男でもなく、女でもない。中性的な、何とも言えない安心感を木綿に抱いていたことに初めて気がついた。
その姿は、木綿の芝居だったのに。

さっき、『男』の顔を露にした木綿を見て気がついた。
木綿が男だと言うことに。


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