ひとつ屋根のした?
「カンナ?どうしたの?」

「あ・・ごめん。」
また、思考の渦に巻き込まれていた。私は、よく一人で考え込む癖があって、小さい頃からよく、はるちゃんに笑われていた。

「大丈夫?具合悪い?」
木綿はさっきの男達に絡まれたことに私が少なからずショックを受けていると思っているようだ。
ショックを受けたことは事実だけれど、そのせいで、せっかく高い入場料を払っているこの瞬間を無駄にしたくはない。
「大丈夫。私、観覧車に乗りたい。」
観覧車、はここではもっとも人気のない乗り物だった。
映画をモチーフにしたアトラクションがごろごろと存在している中で、ただ空中を散歩するだけの観覧車は、普通の人からあまり見向きもされていない。
だから、すぐに乗れて、更にそんなに大きな観覧車ではないから、人気アトラクションの行列に並ぶよりは、スムーズに乗れるだろうと考えたのだ。
それに私は、ただ空を回り続ける、つつしまやかなそれが割りと好きだった。

でも、木綿はもっと派手で有名なアトラクションに乗りたいのかもしれない。
「そうだね。観覧車に乗ろうか。」
そう言って、木綿は笑ってくれた。
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