ひとつ屋根のした?
「それで、付き合う振りを?」
分からないと言う風に木綿が聞いてきた。
「私達、幼馴染で、小さい頃から、はるちゃんは私のこと妹みたいに接してくれたの。
私が気を揉んでいるのを見ていられなくなったのよ。
それで、はるちゃんの彼女に許可を取って、学校では付き合ってる振りをしていたの。
だから、私達の間に恋愛感情はないわ。あるとしたら、兄妹間の愛情ね。」

「そっか。」
そう言うと、木綿は押し黙ってしまった。
窓から見える景色は美しく、今日と言う一日を締めくくるものとしては最適だった。

こんな事を木綿にいうなんて、私も夢の国に酔ったのかもしれない。
胸が高鳴ってしまったのもただの気まぐれ。それ以上の感情はそこにはない。

「はい。」
そう言って降りるときも木綿は手を引いてくれた。
心がざわざわと音を立てだしたけれど、それは異性に触れる機会があまりなく、男に慣れていないせいだと思う。

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