ひとつ屋根のした?
降りたら、もう帰らなくては門限に間に合わない時間になっていたので、急いで出口へ行く。
しばらくすると、前を歩いていた木綿が急に振り返って、
「これ、あげる。」
と言って、ベリーちゃんのストラップを私に手渡した。
お土産屋さんで買っていた、桜のものではなく、スタンダードな、季節を選ばないものだった。
「ありがとう。」
私のためにわざわざ買ってくれたのだ。そう思うと、また、心がざわざわと音を立てだす。
ただの友人としての行為、好意。
それに、私は、もう異性を好きになったりしない。
木綿は、男じゃない。
そう言い聞かせた、帰り道。