ひとつ屋根のした?
「皆に紹介する。転校生の御門徹君だ。御門君は海外から帰ってきたばかりで日本になれていないところもあると思うから、皆助けてやってくれ。」
担任の後ろから仏頂面して入ってきた男。
それを見た瞬間、口があんぐりと開いてしまった。

「ついこの間までフランスにいました。御門徹です。」
奴は、そう言って、無愛想に挨拶をした。
日野陽也とはまた違う、古風な、着物に刀が似合いそうな顔立ちをクラスの女子が見た瞬間、女子独特のあのノリでざわざわと騒ぎ出した。
御門徹は、そんな事は全く自分に感知しない事なのだという風にしれっと立っている。
それよりも、俺の隣の席は開いている、ということは、もしやこいつは俺の隣の席に来るんじゃないだろうな。
そうなると至極まずい。
だって、だってこいつは、
「席は、立高の横が開いているから、そこにしよう。」
やっぱり。
最悪だ。こいつがこの学校に来るなんて思いもしなかったのに。

「よろしく、立高さん。」
そう言って、奴は意地悪く笑った。




最悪だ。だってこいつは、俺が男だって言うことを知っている。
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