ひとつ屋根のした?
「―――――っ」
ちょうど曲がった時に、男がいた。
綺麗な栗色の髪の毛に俺より少し高い身長。大きな猫目。
整った顔立ち。

男の方もこんなところに人が居るなんて思わなかったように見えて、びっくしとした顔でこっちを見ている。

この男、どこかで見たことがある気がする。
と言うか、さっきまでの会話聞かれてねえよな。
いや、聞かれていたとして、この男が誰かに吹聴しても誰も信じないだろう。
とりあえず、知らない振りをしておこう。

と思い、通りすぎようとすると、

「・・・・・立高木綿。」
ぼそりと男が呟くのが聞こえた。
何と言うか、クールな感じの話し方だ。
「何ですか?」
「今、俺らが話していた内容を聞いてた?」
俺らってことは、もう一人誰かがここに居たってことか。
そして、そんなことを聞いてくるってことはこいつは、俺と透が居たことを知らなかったな。
やっぱり、秘密の話をするときは、皆ここに来るのかもしれない。

「いえ。私は何も聞いてないです。」

「そうか。」

そう言って、ほんの一瞬安心したように頬を緩め、去って行った。





あの顔、思い出した。
あれは、ひとみの双子の兄だ。




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