死生系譜
この一言に二人は期待を持ったのだろう。

心なしか二人の緊張が高まった気がした。



「見つけたそうだ」

その言葉が決定打となった。二人の表情は歓喜に変わるのではなく…

緊張が極限まで高まって行くのが手に取るようにわかった。

俺も、そうだから。



「翔達の場所は!?」

先輩が珍しく声を荒げていた。それほどまでに、先輩は焦っていた。

「わかりません。でも、俺らの説が正しいのなら、行く所は同じ…でしょう?」

これほど張り詰めた二人を前にして、俺くらいは冷静さを保とうと半ば躍起になっていたのにその時は気が付けなかった。

この言葉により周りの緊張は解れなかったものの、最善のものだと思ってくれたのか静かに同意してくれた。

そして俺達は自らの仮説を立証すべく急ぎ海岸へと向かった。
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