死生系譜
俺は当時の記憶を蘇らせつつまるで兄貴の後に付いて行くかのように迷わずに海に沿って歩いて行く。

「何かあったの?」

突然の俺の行動にびっくりしたのか瑠菜の反応が少し遅れて付いてきた。

それに対して俺は「いいから」とだけ言い、そのまま足を進めた。




いつのまにか、足元が砂浜から岩場に変わっていた。

岩場なだけあり、歩けない訳ではないが小学生が歩くにはキツイ道だった。

「まださきなの?」

俺は少し疲れてきた為、兄貴に問いてみた。

「もう少し先さ。ここら辺、滑るから気をつけろよ?」

「うん、わか…うわっ!」

返事をしようとしたところ、足を持ってかれてしまった。

が、兄貴が咄嗟に俺の腕を掴んでくれた為転倒せずに済んだ。
< 122 / 154 >

この作品をシェア

pagetop