死生系譜
だが、それもほんの少しだった

「お前らには言っといた方が良いかもな…立宮が行方不明なのは知ってるよな?」

素振りを見せただけで、実際は何も考えておらず、ただ間を開けたかったのかもしれない。そうおもってしまうほど短かった

「噂程度に…立宮に何かあったんですか?」

でも、藤原という人は人の中身を見抜くのが得意で、必要な事、或いは話しても余計な混乱を招かぬであろう人物には隠し事をしない。そこが好かれる理由の一つだ

そんな藤原は俺も含めたほとんどの生徒の尊敬や憧れの的になっている


「その立宮がさっき遺体で発見されたそうだ」

周りに他の生徒や先生が居ないかを確認した後、小声でそう教えてくれた

明日には皆にも伝わるけどな。と最後に付けたし…

「な…マジっすか!?」

信じられない。といった感じで翔の驚きの言葉は声が大きかった

俺はさっきの恵子の説明を思い返し、絶句していた

「あぁ。それに…これも明日までには皆に伝わるからお前らには先に言っておくが、お前らのクラスの斉藤がまだ帰宅していないらしい」

藤原は普段見せない程眉間に皺を寄せ苦い表情のままそう言った

「斉藤…って、確か今日は1現目で早退していましたよね?」

斉藤…あの後すぐに早退してたのか。でもいつもなら昼前には帰宅していたと思うけど…

「あぁ。まだわからんが斉藤も誘拐された恐れがある」


一体何がどうなってんだよ…

< 13 / 154 >

この作品をシェア

pagetop