死生系譜
全身に冷水を浴びせられた感覚とはこういう事、だろうな。

四肢の動かし方を脳は忘れてしまい。

五感の全てが急に失って行く。

「三上恭梧」という色が薄れて行く気がした。




「おい、どうしたんだ?」

どこかで声がする…でも、わからない…ワカラナイ……。

「悪いが、メール、見せてもらうぞ」



先輩は何の返答も無い俺から携帯を奪い、メールを確認した。

先輩の声も。

瑠菜と先生の声も。

どこか遠く…。

囁くかの様にしか聞こえず。

俺はそれに反応する事さえも忘れた。
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