死生系譜
「あれ、しょっちと恵子じゃない!?」

瑠菜の声で俺の感覚は戻ってきた。

瑠菜は先程の岩場の奥へと指をさしていた。

だが、瑠菜の指差す方を見て俺は更に絶望の淵に追いやられてしまった。

「なんであんなところに!?」

「早く行こう!」

言うが早いか二人は先程の岩場へと走り出していた。



「恭梧!行くよ!」



声の方に意識を向けると、先ほどの影は全く無くなった瑠菜の顔があった。


それは俺が再び認識した最初の事だった。

俺はそこで黙り込んでしまった。
< 131 / 154 >

この作品をシェア

pagetop