死生系譜
「個人の力はそこまで高く無いかもしれない」

それでも。と一旦区切りを付け、呼吸を置く。



「俺らは一人じゃない」



「一人で出来ない事があっても二人居ればなんとかなる」



言いながら、俺は自分に言い聞かせているかの様に思えてきた。

錯覚ではないな。と思いながらも、止める事は無い。


「俺らの1+1は決して2じゃない…って事だよ」


右手を肩から外し、顔を見えるように上げてやり。

恐らく今までで最高の笑顔でそう答えた。

まぁ、数学的にはおかしいんだけどな。

と多少苦笑も混じってはいたが。

それが功を制したのか、瑠菜は安心してくれたようだった。

ただ、余計泣いてしまったのは予想外だったが…。
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