死生系譜
「どういう、事…だ?」

先輩が頭を抱え、手帳を睨みつけながら呟いた。


「アイツは…不知火は一日一人じゃなかったのかよ!?」

ゴンッとテーブルを殴りつけ、頭を抱えたまま蹲ってしまった。

恭平さんと藤原が落ち着くように。とは言っているが、誰も平静を保てないだろう。


今までは、

ー一日一人を誘拐し、4日後に殺すー


ということしかしていなかったのに、いきなり誘拐はせずに一度に大量に殺害したのだ。

一体何故、今まではしなかった?出来なかった。と言った方が良いのだろうか。

今までは条件があったものが、何かしらの理由でそれが無くなり、一気に殺したのか…。

元々出来たとしても、今までの行動に説明が付かない。

「ある種の成長、かな」

ふと、恭平さんが呟いた。

「今までは皆が知っている通りの制限があったのがなんらかの理由でそれが緩くなったか、無くなった…って事ですよね?」

今までの思考が同じだった。と思ったから少し勇気が湧いた。

「そういう事になるね。時間なのか、殺した人数なのか…とか、候補はいくらでも出てくるけど…確かめるしか無さそうだね」



そう。例えどんな風になっていようと…翔と恵子を助けなければ。
訳もわからずに壊されてたまるか。

俺は、胸に残る恐怖感を無理矢理奥へと押しやった。
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