死生系譜
女性の声が聞こえた気がした

目を開けると、変わりの無い青い空が見えた

ふと、視界の端に赤い色が見えた気がしたが視界は空のみ。屋上に赤い物などないので気のせいだったのだろう

ふと、自分が汗を掻いているのに気が付いた

何故だろう…

暑い訳ではない。どちらかと云うと、寒気がする…

何故だ?天気は良いし、風も気持ち良い…

この感覚、前にもどこかで…?


「キョウ?」


入り口の扉から聞き慣れた声が聞こえた

俺は落ち着いてきた事がわかった

落ち着いてきた?俺は何かに焦っていたのか…?

…一体、何に…?

「悪ぃ。どした?」

恐る恐る名前を呼ばれたので、顔だけを動かし、起きている事を伝える

「どした?じゃないでしょ…今何時だと思ってるの?」

その言葉に釣られ、携帯の画面で時刻を確認した…

11:40

翔を保健室へと運んでから1時間程経っていた
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