死生系譜

「ｷｮｳ達じゃないか。こんな時間にどうしたんだ？」

俺よりも少し背の高いスラっとした体格で、去年までサッカー部に所属しエースの立場だった田辺和弘先輩（たなべ　かずひろ）が交差点の反対側から歩いてきた

「ｶｽﾞ先輩！お久しぶりです」

翔は頭を下げていたが、俺は普段通り敬礼をした

「最近の行方不明事件のせいで休校になったんすよ。1人は死んで2人が行方不明になっちまったんで…」

俺はそこまで言い、不味った。と思い恵子を見た

が、恵子は大丈夫。とでも言いたげな顔をしていた

「そうか…お前らの知り合いに被害者は？」

先輩はそこまで言い、事態を把握したみたいだ

まぁ、その言葉を聞いた瞬間、恵子の体がほんの少し、震えていたからこの人ならわかるよな


「そうだ。これから暇か？マックにでも行かないか？」

それが…と翔が言葉を濁したのとほぼ同時にｶｽﾞ先輩がそう提案した。何か、話があるのだろうと思い、俺らは返事をした