死生系譜
「って言って俺を突き飛ばし、走り去ってしまった…」

「その呼んでるっていうのが、不知火…?そんな馬鹿な…」

一番驚いているのは翔だろうな

今までそんな物は一切信用していなかっただろうし…

俺もだけど、この様な事があるはずは無いと思っている

「あぁ…俺も信じたくは無いが、そのサイトの説が高いと思ってる。だが、警察に言っても無駄だ」

「なら、どうする?」

翔は完全に顔を伏せてしまった

信用していた警察が使えないという事がわかったからか…

自分の考えを超えた話についていけないのか。正直、俺もそうだ。流石にこれは行きすぎでは無いか。と

「俺自身の手で香織を助けるしかない。そう、思ってる」

だが、そう言い切る先輩の目は今までの様な酷く脆く今にも崩れそうな物ではなかった

決意に満ちた、この様な状況下でも自らのすべきこと全てをわかっている、いつもの先輩だった

「でも、助けるって言ったってどうやって…」

瑠菜が一番の問題点を指摘した。場所がわからなくては元も子もない

「それは…」

先輩は手帳を一瞬見て、視線を窓の方へと向けた

俺らの視線を避けるかの様に…

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