死生系譜
「先輩、何かわかってるんですか!?」

それを一番に指摘したのは今までずっと俯き、聞いていた恵子であった

流石に落ち着いてはいられないだろう。体を乗り出していた

「ん…わかってるという訳では無いんだが…」

それでも尚、言葉を濁し話そうとはしない

「…先輩、一人でどうこうするってのも格好良くていいっすけど…やっぱダメっすよ。俺らそんなに信用無いんすか?」

俺は力を抑えつつテーブルに両手を叩きつけ、顔を先輩の前へと持って行き、視線を無理やり合わせた

今の恵子は見ていられない。無いとは思うが、先輩の説を当たって見るのも気休めにはなるかもしれない。と思い俺も動いた。何より、さっきから嫌な予感がしている。先輩を一人にしたらいけない。と


「そうじゃない。そうじゃないが…お前らは巻き込みたくはない。これは…俺がやるべき事なんだ」

先輩の言葉が終わるとほぼ同時に、パチンと心地よい音が店内へと響いた。客が少ない為、余計に響き店内の視線を集めた

「そんな事して…先輩に何かあったら南先輩はどうなるんですか!?」

涙ながらに必死に訴える瑠菜

俺は予想外の展開に唖然とそれを見守っているしか無かった
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