死生系譜
突然、何処からとも無く風が吹いてきた


隙間風の様な弱い物だったのだが



風は俺らを包み込む様に周りを漂っている感じがした



そして、それは吐息の様な生暖かさがあった





「!?な、何」

右腕に何かが触れた

ビクッと体を震わせながら恵子が俺の袖を掴んでいた

「…何か居る」


先輩、変な事言わないで下さいよ。などと軽口を叩こうかとも思ったのだが止めた。俺もそう感じていたから。視線の様な物を


俺らは周囲を見渡していた


そして視界に入って来た物


赤だった


機械にインクを零した様な感じだったのだが


少しづつ広がって行き、機械だけに留まらず、壁や床にも赤いインクの様な物が散らばって一面、赤だった

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