死生系譜

変化

そう考えていたある日の事だ




「お~し、楽しい数学の時間だぞ~」

そんな事を言いながら教室へ入って来た菊池先生…ちなみに俺らの担任でもある。

いくらなんでも勉強は楽しい物ではない。

確かに数学は他の教科とは違い遣り甲斐はあると思うが

「あら?斉藤はどうした?」

出席確認を取っていたところ、斉藤芳弘(サイトウ ヨシヒロ)が居ないみたいだ。

俺にとっては挨拶を交わす程度の知り合い…というよりただのクラスメイトだな。なのであまり良くは知らない。さっきまでも部活のヤツ等と話をしていて居ない事にすら気付いていなかった。

確か、朝のHRの時には居たのだが…

「あぁ。さっき具合悪いみたいで保健室行きました」

どこからか、そんな声が上がった。

別段、珍しい事ではなかった。

斉藤は身体が弱いらしく、頻繁に早退や欠席があった。

ただ、彼は頭が良かった。出席日数は足りないのだが、成績は毎回学年で5位以内だった為、これまで進級していた。

「そうか。それじゃあ仕方が無いな。授業始めるぞ~」

俺はその声を聞きゆっくりと、意識を深くへと沈めていった。

予め、授業とは別に教科書をやってあった為、貴重な睡眠時間となった。
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