林檎と蜂蜜


「隆司、なんて聞かされたの。」

「ん?あぁ、えっと。梨紗が隆司にドタキャンされたってキレてたよー。明日口きいてもらえないかもねっ☆って嬉しそうなメールが。」

猛…。絶対、面白がってるな。

「なーんだ。そっかそっか。」

「で、怒ってねんだろ?」

「ん。怒ってるってより、悩んでたけど。猛に慰めてもらったからいいや」

「…なんで悩んでたんだよ」

「ないしょっ。で?隆司は彼女できたの?」

答えを知ってるのに、そう尋ねる私は、やっぱりまだこの立ち位置で満足しているようだ。

熟れた林檎のように私を魅了する隆司。

甘い蜂蜜のように私を癒してくれる猛。

もう少しだけ、依存させて。
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