林檎と蜂蜜
笑顔を作って革靴に履き替える。と、隆司が追いかけてきた。眉間に皺。あぁ、怒られるかな?
[オイ、猛っ]
[なに?]
[なんで何も言わないんだよっ]
[どういう意味。]
コンビニへと向かう足。スピードは緩めない。
[だってアイツら明らかに梨紗の靴…]
[だから、とめたじゃないか。]
隆司はぐっと言葉をつまらせた。梨紗はこんなことが結構頻繁にあることを知らない。そして、僕が見つける度に牽制してることも。
[それに、彼女は多分怒らないよ。]
[どういう意味だよ…]
[少し前に同じような場面に2人で遭遇したんだ。したらなんて言ったと思う?佐藤さんたち優しいねだってさ。]
その時の女子グループのなんとも言えない憤怒の表情を思い出して、嗤う。