林檎と蜂蜜
半泣きになりながらも梨紗は此処へやってきた理由を僕に一生懸命話してくれた。まぁ、大体は知ってるんだけど。僕は知らないふりをしながら、彼女を納得させようと色々と考えて、うまく丸め込んだ。(あれ、こう言ったら人聞き悪いかな?)

多少無理やりな感じもしたけど、梨紗はしぶしぶ納得してくれたようだ。目頭が赤くなってたから、涙を拭おうとしたら、少し照れられた。

ほんと可愛いなぁ、もう。なんで隆司のことが好きなんだろう。

本を鞄に詰めて、梨紗の手を握る。これくらいは許してよね、隆司。僕は君のこと一応応援してるんだから。

元気を取り戻した梨紗と、たわいも無い話をしながら、僕らは学校を後にした。
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