恋愛日和
私9歳、タロちゃんは
”ジュケン”ってやつで忙しい。
私とは遊んでくれないくせに、
アヤコっていうクラスメイトと、
部屋に閉じこもって
何時間も
勉強していると、
マリは言った。
一度だけ、
タロちゃんの部屋を覗き見した
ことがあった。
羨ましくて。
タロちゃんとアヤコさんは
抱き寄せあって、
キスしたりしていた。
タロちゃんに、
私のタロちゃんに触らないでよ。
私はそう思ったのに、
声が出なかった。
そうっとドアを閉める瞬間、
アヤコさんと目が合った。
びくっとして、身体が固まった。
覗いちゃだめよ、秘密だからね、
そう言うように
アヤコさんの人差し指が立つ。
タロちゃんの頭から陰る
アヤコさんの口元は笑っていた。