改定版・あなたに夢中
とても、大切な人だった。


すごく、すごく、愛しかった人。


もうこの世にはいない彼だけど。



彼の名前は、迫田 刹那。


これが、恋だったとか全くわからなかった。


けどね。


陽太のようにいなくなって気づいた。


たぶん初恋だったんだって。


私と刹那は、周りから見たら友達以上恋人未満な感じ。



愛の言葉なんてなくて。


まあ、ただの友達として居心地がよかった。


だから、常に一緒にいた。


周りから見たら、やっぱり恋人同士にしか見えなくて。


なんかくすぐったかったけど、毎日が幸せで楽しかったから、嬉しかった。


けど、そんな幸せは長く続かなかったんだ。


刹那が、交通事故で亡くなってしまった。


聞いた瞬間意味が分からなかった。


放心状態で涙なんか出なくて。


だって、一緒にいてくれた刹那がいないだなんて理解したくなかった。


けど、お葬式とかが終わって、前のような日常生活に戻って理解した。


なんか胸にぽっかり穴があいたような、変な感じ。


それで、いなくなって気づいてしまったんだ。


恋だったんじゃないかって。


刹那が交通事故で亡くなる前から、わかってたのかもしれない。


けど、関係が変わることが怖かった。


だから、気づかないふりをしていただけかもしれない。



ホント最低だ。
< 7 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop