最終地点
愛しい君はすぐ側にいる。
「よーちゃん、それ見せて。」

ベッドでくつろぎながら雑誌をゆびさす梓。俺の前じゃあ無防備。ガード固い癖に。

「ん。」

内心ベッドにいる梓に複雑な感情を抱きながらも俺はファッション雑誌を手渡した。今月号はシルバーアクセの特集が組まれている。

「オトコってこういうの好きだよね。」

梓が指さすのはゴツイ髑髏のシルバーリング。

「俺は好きだけど…皆が皆そーだったら怖えぇよ。偏見持ちすぎ。」
煙草を吸いながら苦笑すると、梓がむっとした。

「どうせ男慣れしてないですよーだ。」

「16歳で慣れてても微妙じゃね?」

「鼻で笑うなっ」

「おまえ人ん家で寛ぐな。ってか帰れ。」

「なんで」

「彼女来るから。」

ケータイの画面を見せてやる。今から行くね、的な内容のメールが絵文字やら画像やらを盛り込んで表示されている。

梓の表情がサッと消える。あぁ、ほらまた…。

「わかった、帰る。」

無表情になった梓はそう言ってベッドから降り、雑誌を持って俺の部屋を出ていった。

梓とこのやり取りをするのは何度目だろうか。

ため息をついた。今回もここまでだな。
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