来る来る廻る

またお金?これからの行く先ではなく、私を思ってくれる言葉でもなく……やっぱり……お金……。

これ、絶対的佐々木の法則。

「どうしよう?私…今日はあんまりお金持ってきてないわ、これだけしか…」

二枚差し出したら、佐々木はさっと冷たくもぎ取った。

「じゃ、お袋待ってるから、俺帰るよ」

佐々木は、片手を軽く上げ背中を見せた。

分析中間発表……ちぇっと言う佐々木の微かな舌打ちを…私は聞き逃さなかった。

今日はこれだけ付き合ってやったのに…たかが二枚かよ…あなたの心の声が聞こえてきた…その背中から……。

世界対戦は今始まった。

いつ終わりがきても覚悟の上で、これからも爆弾を投げつける。

そぅ、佐々木の気持ちがどこにあるのか、はっきり ひなこ自身が確認するまでは戦う、負けない。

それから次の日、メールはなかった。

仕事が終わり、重い足取りで家路を歩く。

携帯着信音、ボリューム一番大にして、肌身離さずに側に置く。

私と佐々木を繋ぐ…頼りないパイプライン。

トイレにも持って行った。

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