来る来る廻る


仲間達は、断崖絶壁から飛び降りるような思いで、皆それぞれに検査を受けに行った。

幸いな事に、皆、陰性だった。

私は、なかなか検査に行けなかった。

もしかして…私がキャリアになっていても、何もおかしい事はない、と言うか、当然の報いかも知れない。

悪魔のブローカーに対する因果応報……。

でも恐いよ…恐い…おばあちゃん…助けて…梨花を助けて……。

この世に、恐い事があると初めて知った。

誰から感染したかもわからない…本当に好きな人とエッチして、その人から感染したのならば、まだ、無理矢理納得出来るかも知れない。

でも…相手がわからない、責める、憎む相手が誰かわからない場合は…どうしたらいいの?

ブランドのバック、靴、服、時計、財布、アクセサリー、エステ、ネイル……こんな物の為に、私達は何をしてきたのだろう。

エッチという商品売るには、命と引き換えのリスクがある事……私達は身を持って知った。

そして、皆、売りはやめた。

未検査は私だけになった。

一人取り残された。


わななく膝で…ふるえる歯で…私は検査に行った。


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