来る来る廻る


この男はおかしい…狂っている…その時初めて気が付いた。

何で、何で今までわからなかったのだろう。

お金は、人の心を隠す事も映し出す事も出来る。

客を取れと…殴る蹴るの日々が始まった。

私は耐えた。

悪魔との条件を絶対に守らなくては…この苦痛が罰とするならば、喜んで受けてやるよ。

暴力の後に、彼は泣き声で甘えてきた。

「兄貴に渡す上納金…溜まってんだよ、助けてくれよ…なっ…」

と私の上に乗り、体を要求してきた。

お前はアホか? バカか?

てめぇの女に商品になれとか…その商品にも手を付けようとしたり…意味不明、支離滅裂。

お前の体で私がその気になり、言う事を聞くとでも思ってんのかよ、このたこ!

私は彼の下で…冷めた口調で言った。

「もう、今すぐここから出て行ってくれない?出て行かなかったら…私、警察に電話するわ、同罪でも構わない…今までの事全部話すから…」

 覚悟は出来ていた。

 腹はくくっていた。

殺されるかも知れない……とも思った。

それでも……尚…私の上から、彼は降りようとしなかった。


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