来る来る廻る

リコはいったい、どんな男と飲んでんだ?


どんな顔して座ってんだよ?

俺は思わず、重いドアを開けた。

「いらっしゃいませ」

黒服が飛んで来た。

「面接?」

「あっ…はい」

店内に入った。

大理石で出来た長い廊下を歩いて行くと、右にキャッシャー、左に事務所…俺は事務所に入るようにと促された。

これじゃ店の様子が全然見えないじゃないか。

事務所には、店長らしき男が一人いた。

「そこ座って、この仕事はじめて?」

「…いぇ…以前に少しだけ……」

店長 武田 健 と印刷された名刺を受け取り、俺も…名前と連絡先を書かされた。

「仁(じん)君、いい名前だね、ホストに持ってこいだよ。その帽子とメガネ取って、ちょっと顔見せてくれるかな?」

あっ…そうだ、変装してる事忘れてたよ。

「へぇ~いい顔してるね、君…どう?明日から勤めてみるかな?」

「体験入店出来るなら、今からでも…」

俺は…とにかく…店の中のリコを…この目で見たいんだ、確認したいんだ。

「うん……服装もねスーツでないとね…その格好じゃまずいし…」

「そうですか……」

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