来る来る廻る


店長 武田は続けた。

「履歴書と身分証明出来る物持って来て貰いたいし…取り敢えず君ね、明日からって事で、待ってるよ」


「…わかりました。じゃ、店の中って言うか…店内の様子少しだけ見せて貰えませんか?」

「あぁ、チラッとなら見渡してくれていいよ。君なら、きっといい線行くよ。期待してるよ」

事務所出て…廊下歩き…薄暗い店内にたどり着いた。

それぞれボックス席が入り組んでいて…いったいリコが何処にいるのかわからない。

更に前に進もうとした時、後ろにいた店長 武田に呼び止められた。

「あまりじろじろ見られると、お客様に失礼だから、明日からね」

「はい…」

リコの姿は見えなかった、探し出せなかった…あんな近くまで行きながら…。

渋々、俺は店を出て歩き出した。

そして携帯持ちリコに発信…相変わらず留守電応答だった。

次はメールだ。

「リコ、もう寝たか?俺は、なかなか寝付けなくてメールした。もし起きてたら返信くれると嬉しいんだけど…仁」

俺は、目的もなく歩き出す…。

メールの返信くるのはきっと…また明日の事だろう。

また…眠り姫になりきるつもりか、リコちゃんよ……。


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