来る来る廻る


それから2年後、普通に結婚。

彼女は料理の講師を辞める事もなく、共働きの生活が始まった。

どちらも、料理を作りたがった。

仕事を終え、早く帰宅した方がキッチンに立つ…いつも競争だった。

二人で共同作業の時もあったが、その時はどちらがリーダーになるかでよくケンカした。

ケンカと言っても、ままごと遊びで誰がどの役をするかで揉めるような、他愛ない可愛いいものだった。

子供が出来た、女の子。

菜々子は仕事を辞め専業主婦に…キッチンの主役は菜々子になった。

俺は休日のみのゲスト出演。

その内、年子でまた女の子が誕生した。

菜々子は家庭に修まったように見えたが、彼女には夢があった。

いつか時分色の店を持ちたいと…言っていた。

子供の手が離れたら、その時にでもと……。

自分の創作料理を食べさせる、キッチンバー「菜々子」。

もう既に、菜々子の頭の中では、緻密なプランが出来上がっていた。

俺も、大大大賛成だった。

菜々子の夢に俺も便乗した。

そう、菜々子の夢は俺の夢…俺の夢は菜々子の夢……。

親子4人、普通に幸せだった。普通に…。

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