来る来る廻る
安月給の営業で走り回されていても…小遣い、タバコ代込みの月3万であっても…古いワゴン車に乗っていても…ブランドスーツなんて一着さえ持っていなくても…俺には愛する妻と、可愛い娘が二人いる。
休日には、俺の作った餃子の具を、3人が包んでいく。
薄く丸く白く…小さな皮…小さな小さな幸せ…でもそこには、他の家庭では味わえない愛情がぎっしり詰まっていた。
それだけでよかったんだ……。
他には何もいらない、何も欲しくなかったのに……。
俺は尾崎に電話した。
「お前の力が必要になった。確か…勤務時間って深夜からだったよな?週に2、3日ってバイト出来んの?バイト代ってどれくらい?俺なんかでも出来んの?」
尾崎は言った、俺の下でヘルプしても充分な金にはなる、直ぐにでも待っていると……。
金曜、土曜の週2のバイトが始まった。
民間の保育所に深夜料金払っても、充分過ぎるくらいのバイト代になった。
後でわかった事だが…それはナンバー1である拓也の下だからだった…相当な売上をするホストのヘルプだったから……。