来る来る廻る


昼間にデートする客は何人かいた。

リコもその中の一人だった。

リコは普通のキャバ嬢…金を基準にしたら…俺の中でかなりレベルは低い。

けど…ルックスは可愛いし、自分なりに精一杯俺を愛してくれている。

決して金にはならない客…夢の実現の為にも、この女は時間の無駄かも知れなかった。

けど…俺は愛しく思っていた、この女を……。

優しく賢く、若いくせにワガママも言わない。

ひょっとして俺より歳上じゃないかと、たまに思う時もあるぐらいだった。

俺は、この女、リコとだけは気持ちで付き合っていた。

今、現地点ではホストと客の関係に過ぎないが…これから先の事はわからない。

理屈ではない、リコと共有する時間だけが…俺にとっては心地よかった。

俺がホスト稼業でなければ、彼女になっていたかも知れない女……。

男と女は、出会う時や場所、タイミングや順番によって…それぞれに状況が大きく違ってくる。

未来に未希、そしてキッチンバー「菜々子」の夢がなければ、俺は素直に真っ直ぐリコと…正面向き合う恋をしていただろう。


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