来る来る廻る
残金500万……この今の状態続けるなら、2ヶ月持つかどうかわからない額だ。
何か仕事探さなきゃ…と思いながら、私はまたキャバクラ「アラビアンナイト」で、全然美味しくない酒を飲んでいる。
優しいお姉さまを気取り、口角上げて微笑んでいるけど……心中は綱渡りしてるのよ、佐々木君……。
そんな事全く知らない佐々木は、上機嫌。
アリスと言う名のキャバ嬢を横にピタリと付け、鼻の下を伸ばしている。
私と佐々木の間には、微かに隙間があるが…アリスと佐々木の間には、隙間がない、お尻同士が引っ付いていた。
場内指名は、その日によって色々替えられるが、このアリスだけはいつも本指名…佐々木のお気に入りなのね。
ジェラシー……やるせない思いが、胸を締め付けた。
息するのも苦しくて……。
涙をアルコールで飲み込んだ。
ライトが明るくなり、アラジンは、私の残り少ない紙切れを無情にも取り上げる。
アリスが甘い声で言った。
「佐々木くぅ~ん、明日もね、お姉さまと来てくれない?アリス、待ってるわ、ねっ」
「おっ、明日な、じゃ」
佐々木がニコヤかに答えた。