来る来る廻る
俺は、携帯が気になって仕方なかった。
客からのメールで…リコからだけ返信メールがなかった。
先日のドタキャンに頭にきているのか…電話しても留守電…全く音沙汰がなかった。
俺は、ガマ蛙を観賞しながら、口内で溶けるような肉と赤ワインを口に運ぶ。
この辺りでは有名なフランス料理屋…だけど…蛙を目の前にしては美味しく感じる筈もなかった。
名俳優、翔がニッコリと微笑む。
今この時点で、俺の愛する恋人はこの女なんだと何度も 言い聞かせ、ゲロの代わりに粋なセリフを吐きまくる。
横に携えたセカンドバックの中には、さっき買ったハートのネックレスを忍ばせていた。
そぅ…俺の本当の心は、このバックの中にある。
店を出た…ガマ蛙が、俺の腕にしがみ付く。
このガマ蛙にも、少女時代があったに違いない事はわかる。
が…全く想像出来ないや……いったいどんな生活送って来たとするなら…少女をこんなガマ蛙に変えるのだろう。
もしも、このガマ蛙と同じ歳で、同じ小学校で、同じクラスだったとするならば…恋をしていた可能性も果たしてあったんだろうか………。