来る来る廻る


直也は仕事で疲れ果てている…家でも気を使っていたら身が持たないもんね。

私が間違ってたわ…直也の事、理解するように努力する……だって私は、特別選ばれた女だから……。

夕方から深夜出勤までが二人の時間。

でも週に3回ぐらいは同伴があるから、その時は、夕御飯も食べずに直也は家を出て行く。

二人でいる時も、直也はずっと携帯を離さなかった。

お客と頻繁に、電話とメールでやり取りしている。

客と携帯で話してる時の直也は、生き生きしていた。

声高く笑ったり、ジョーク飛ばしたり、時には甘い声出したりと……これは仕事だからと……無理矢理に納得させられているけど、この寂しさは……凄く重い。

お客の立場に戻りたくなる時もよくある。

メールしている相手も数知れなくて…直也が入浴中、私はこっそりと携帯を盗み見た。

肉体関係……あると思える文面が…そんな女が何人もいた。

でも直接には聞けない。

携帯勝手に見たと知ったら…直也はきっと怒るに違いなかったし、他に問い詰める証拠もなかったし………。

もしも開き直り、これも仕事だって言われたら、何も言えなくなってしまう。


< 213 / 267 >

この作品をシェア

pagetop