来る来る廻る


ホスト…ホストの彼女なんだから、これでいいの、これで当然なのよと…何度も自分に言い聞かせ、私は直也の家政婦を努めた。


ある時、携帯に着信が入った。

それは珍しい相手だった。

吉田ひなこ? 元店長? 何の用があって?


「店長?どうしたんですかぁ?」

「野田さん、元気にしてる?店長になって頑張ってるんでしょ?」

差し障りない挨拶から始まり、この女の用はいったい何なのか?

探りながら受け答えしていたら、見えてきた!

  佐々木の事だ!

お金返して貰えずに、連絡途絶えた?

住所が知りたい?

事務所に履歴書?

この女、あれからずっと佐々木と繋がってたんだ。

ハハン…ずっと続いてたのね。

でも…自分の男の家も知らないなんて、何て間抜けな女?

私でさえ、佐々木の家は知っている。

一度だけ、ホテル代もなかった時に連れて行かれた事があった。

ただ、お金貸しただけ…何も関係ないなんて…やけに強調するけど、その強調が余計におかしい事、この女は気付いていない。

あの佐々木が、手を付けない筈ないじゃない?


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