来る来る廻る
私の次に古い女性社員、野田亜紀子が、目を白黒させて言った。
「店長…別人みたいに痩せましたね」
「えっ……」
母の入院から、知らず知らずの内に、痩せてきていた事は知っていた。
スカートが、ジーンズが合わずに…何枚か買い足した。
顔の面積も小さくなったせいか、眼鏡がよくずれ落ちるようになり、買い換えたところだった。
それにしても…別人と間違われるくらい、私は痩せていたんだ。
日頃、ノーメイクの私は、鏡を見る必要なんて殆んどなかったから、自分の変わった姿に全然気付かないでいた。
いつの間にか…私は…メガトンから脱出していた。
私は、代理店長に挨拶を交わし、交代した。
アルバイトの男の子が一人増えていた。
佐々木 仁(じん) 26歳…甘いマスクを持った茶髪のロン毛…スリムで長身のスタイル…今時の男の子だった。
野田が紹介した。
「先月から入った、佐々木君って言うの」
「佐々木仁です。よろしくお願いします」
「吉田ひなこです。こちらこそよろしく」
佐々木が、ニコッと微笑んだ。
その時、私の中に不思議な感覚が生まれた…。