来る来る廻る

決して、相手が反抗的でも何でもなく、原因は私の中にある。

側にいると、息苦しくなる。

指図出来ない。

自然と遠ざけてしまう。

私にとって、超苦手なタイプなのかな…。


「店長、明日、佐々木の歓迎会兼ねての飲み会なんですけど、どうします? 店長も出席なら、復帰励まし会も兼ねようと思ってるんですが…でも…欠席ですよね?」

野田が言った。

「えぇ、欠席にしといて」

私の答えは即決だった。

勤めて10年過ぎたが、こういった飲み会に参加したのは過去に二度だけ、自分の為の歓迎会と、店長に任命された時だけ…。

社員やアルバイト達は、その都度、何かの名目をつけて、居酒屋にカラオケと集まっていた。

私には、待っている母がいたから、一分一秒でも早く帰宅しなければいけなかった。

仕事場は、私の散歩コース、早く早くハウスしなければ…といった強迫観念が、常に私を支配してきた。

私は、家の鍵を開け、暗い部屋の電気を点ける。

迎えてくれるのは、御内裏様と御雛様…。

私を待っているのは…。

  動かない人型。

  喋らない人型。

  感情ない人型。

そうだ! 孤独と同時に、手に入れたものがあった。


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