来る来る廻る
ばら色の日々が始まった。それもピンクやオレンジやホワイトではなく、深紅のばら…それは、あまりにも遅過ぎた開花だった。

仕事に行くのが楽しくてしようがない。

佐々木は、事あるごとに、私の側に寄って来た。

この頃、やけに野田の視線を感じる。

狙っていたおもちゃを誰かに取られた子供のよう……。

でも私は、あなたみたいに、佐々木をおもちゃ扱いしたりはしない。

私にとって佐々木は…人生最大イベントパートナーなのよ。


二回目のデート…佐々木に誘われるまま、ちょっと高級そうな寿司屋に入った。

値段が書かれていないお品書き……。

佐々木は、何の屈託もなく次々と注文する。

日頃、きっとあまりいいものを食べてないのね、家賃稼ぎのバイトって言ってたから、きっと苦しい生活しているのね…可哀想に…御愛想がいくらになろうと構わない。

アルコールと魚と佐々木に満たされた私の前に、支払伝票が来た。

  \35000ー

二件目は、カラオケボックスに行った。

密室で男性と二人きり……。

何もかもが、私にとっては初めての経験で…目がクラクラする。


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